【『メイドインアビス』――底知れぬ奈落が誘う、命を懸けた大冒険】

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「リコ、アビスの底には何があるんだと思う?」
「母さんが見た世界を、私も見たいの!」

幼い孤児院の一角で交わされる夢のような会話。それは、この物語がただの冒険譚ではなく、“人の欲望と代償”を描いた叙事詩であることを予感させる。

『メイドインアビス』の舞台は、世界にただ一つ残された秘境――深く果てしない縦穴「アビス」。その底は未だ誰も到達したことがなく、探窟家たちの憧れと狂気を同時に呼び起こす存在だ。アビスには人類の理解を超えた遺物が眠り、奇怪な生物が息づき、冒険者たちはその未知に魅せられて命を懸ける。

主人公・リコは、偉大な探窟家である母の背中を追い、幼いながらもアビスへ挑もうとする少女だ。そんな彼女が出会ったのが、少年の姿をした謎のロボット・レグ。この出会いは、二人を過酷で美しく、そして取り返しのつかない運命へと導いていく。

『メイドインアビス』が他の冒険ファンタジーと一線を画すのは、その残酷さと愛らしさが同居している点にある。キャラクターたちは可愛らしいデザインで描かれながら、物語は命の危険や痛み、喪失を容赦なく突きつけてくる。特にアビス特有の「呪い」は、深く潜れば潜るほど過酷になり、探窟家たちの運命を苛烈に彩る。読者はその緊張感に震えながらも、ページをめくる手を止められない。

また、アビスという舞台そのものが圧倒的な存在感を放つ。巨大な縦穴に広がる階層ごとの景色は、幻想的でありながら恐ろしくもある。光る花畑、毒の霧に満ちた森、奇怪な生物が徘徊する地形……どれも息を呑むほど美しく、同時に生存を拒む冷酷さを備えている。そこに描かれるのは、まさに“冒険”の原点だ。

そして、リコとレグの関係性も物語の核だ。母を探すために進み続けるリコの無邪気な強さと、記憶を失いながらも彼女を守ろうとするレグ。二人の絆は深く、読者の心を揺さぶる。時に仲間を得て、時に過酷な試練に涙しながら、それでも前に進む姿は、まるで読む者自身の“生きる意味”を問いかけてくるかのようだ。

試し読みができるサイトも豊富に存在する。まずは第一巻で、アビスの入り口に立つリコたちの姿を覗いてみてほしい。

  • コミックシーモア(www.cmoa.jp)
  • ebookjapan(ebookjapan.yahoo.co.jp)
  • BookLive!(booklive.jp)
  • DMMブックス(book.dmm.com)

『メイドインアビス』は、希望と絶望が交錯する冒険活劇であり、読むほどに胸を締め付ける“奈落の誘惑”だ。底知れぬ穴に吸い込まれるように、あなたもきっとアビスの虜になるだろう。

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