「俺はただ……魔術を極めたい!」
少年の口から放たれたその言葉には、身分も名誉も、権力すらも関係ない。王子でありながらただ魔術の研究に没頭する姿勢は、時に奇妙に見えるが、読者の心をわしづかみにする。
本作『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』は、小説家になろう発、累計1800万PVを誇る超人気作のコミカライズだ。マガポケのセールスランキング1位を獲得した実績からも、その人気ぶりがうかがえる。
物語の主人公は、魔術を愛してやまない一人の青年。死の間際に「もっと魔術を極めたかった」と願った彼は、なんとサルーム国の第七王子・ロイドとして転生を果たす。しかも、王族として生まれた彼の魔力量は桁外れ。さらに、兄たちから自由に生きられる立場である「第七王子」というポジションを手に入れたことで、研究に没頭するには最高の環境が整っていた。
だが、ただの研究だけで終わらないのがこの作品の醍醐味だ。ロイドが繰り出す魔術は、いずれも既存の常識を覆すものばかり。炎は天を焦がし、氷は大地を凍らせ、召喚魔法では強力な魔獣さえ従わせる。彼にとって戦いは“実験の場”に過ぎず、その天才ぶりと自由すぎる発想が、異世界の人々を圧倒していく。
また、ロイドのキャラクターも実に魅力的だ。王子でありながら権力欲や政治的野心は一切なく、ただ魔術のことだけを考えている。純粋すぎる「魔術バカ」ぶりは読んでいて爽快であり、周囲の人物たちが彼に振り回される様子はコメディとしても楽しめる。
作品の世界観も秀逸だ。王国を支える魔術体系や、王族同士の複雑な関係性、魔物や古代遺跡など、ファンタジーの魅力が余すところなく描かれている。特に、魔術戦の描写は圧巻で、ページをめくるごとに迫力あるバトルシーンに目を奪われること間違いなしだ。
さらにコミカライズならではの魅力として、圧倒的な作画力が挙げられる。光と影を駆使した魔術表現や、ロイドが見せる無邪気な笑顔と真剣な眼差しのギャップなど、視覚的な迫力が物語を何倍にも膨らませている。
この作品に触れると、読者はきっと「魔術ってこんなに自由で楽しいのか」と感じるだろう。ロイドの姿は、子供の頃に誰もが抱いた“魔法使いへの憧れ”を思い出させてくれる。
もしまだ未読であれば、まずは試し読みから始めてほしい。以下のサイトで公開されている。
- コミックシーモア(www.cmoa.jp)
- ebookjapan(ebookjapan.yahoo.co.jp)
- BookLive!(booklive.jp)
- マガポケ(pocket.shonenmagazine.com)
『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』は、ただの転生ファンタジーではない。“無双”と“研究バカ”の掛け算が生み出す、他に類を見ない爽快魔術譚だ。読み進めるごとに高鳴る胸の鼓動を、ぜひ体感してほしい。