【『陰の実力者になりたくて!』――“勘違い”から始まる最強の暗躍ファンタジー】

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「俺は陰の実力者だ……!」
そう呟きながら、闇に潜む青年の姿を見たら、誰だって彼をただ者ではないと感じるだろう。だが実際のところ――それは中二病をこじらせた一人の少年の“ごっこ遊び”の延長にすぎなかった。

『陰の実力者になりたくて!』の主人公・シドは、異世界に転生した普通の少年。しかし彼は「表舞台ではなく、陰から物語を動かす存在」に強烈な憧れを抱いていた。だから彼は勝手に“闇の教団”なる組織を作り上げ、自分を中心とした暗躍劇を演じて楽しんでいたのだ。ところが、その“妄想設定”が現実だったとしたら……? そう、本当に世界には「闇の教団」が存在し、しかも彼の作った“シャドウガーデン”が立ち向かうべき相手だったのだ。

ここで最大の魅力が炸裂する。シド本人はずっと「俺、かっこいいこと言ってるだけの設定遊びだし」と思っているのに、周りから見れば彼は“すべてを見抜く闇の支配者”。部下たちのシャドウガーデンは、彼を絶対的なリーダーだと信じ切り、忠誠を尽くす。そのズレが生み出すコメディ感と、実際に彼が無自覚に世界最強レベルの力を振るってしまうギャップが、物語を唯一無二の爆笑ファンタジーにしている。

舞台はダークでシリアス、でもテンポは痛快。次々と現れる敵対勢力や、シドの前に現れるヒロインたちは、みな彼の「中二的暗躍プレイ」に巻き込まれていく。本人は「俺が考えたカッコいいセリフ」を口にしているだけなのに、それが現実を動かし、国家を揺るがし、世界を震撼させる。まさに“勘違い無双”の極みだ。

また、シドを慕う美少女集団“七陰”の存在も忘れてはならない。彼女たち一人一人が圧倒的な実力を持ち、しかも「我らがシャドウ様こそすべてを導く方」と信じている。シドの何気ない一言に勝手な深読みをして、壮大な戦略へと展開してしまうその姿は、笑いと同時に圧巻すら覚える。

さらに、作品はギャグだけではなく戦闘描写も極めてハイクオリティだ。剣戟、魔法、暗殺術――シドが無自覚に繰り広げる戦闘は迫力満点で、読者は「シド、早く気づけよ!」と突っ込みながらも、その強さに圧倒される。

試し読みができる主なサイトはこちら:

  • コミックシーモア(www.cmoa.jp)
  • ebookjapan(ebookjapan.yahoo.co.jp)
  • BookLive!(booklive.jp)
  • マンガBANG!(manga-bang.com)

『陰の実力者になりたくて!』は、“中二病ごっこ”と“本物の世界の闇”が見事に噛み合った、前代未聞の勘違いシリアスコメディ。読むたびに、「自分も陰の実力者になりたい……!」と心のどこかで囁いてしまう。

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